
株式会社銀座クルーズでは、プラネットのeSCOM(エスコム)を導入。オリジナルのeラーニング教材を開発し、
スタッフの教育に活用しています。
eSCOM導入後の変化や活用法について、同社営業部長兼総料理長の松永藤吾氏に詳しく伺いました。
導入事例目次
「クルーズ・クルーズSHINJUKU」の店舗内。日本テレビの人気番組「ぐるナイ ゴチになります」に登場しました
銀座クルーズは、「クルーズ・クルーズ」「ベニーレ・ベニーレ」「天空の庭 星のなる木」などの 大型テーマレストランを展開している会社です。現在の代表取締役である南有子が1995年に設立しました。
フレンチ、イタリアン、和食などの垣根を取り払った創作融合料理や、オリジナルイタリアン、新懐石料理を 専門としたダイニングサービスを、幅広い層のお客様にご提供しています。
従業員数は、社員とセーラー(アルバイト)を含めて約1,000名です。
プラネットのeラーニングシステム「eSCOM(エスコム)」を導入しました。
eSCOMを用いて銀座クルーズ独自のeラーニング教材を作成し、従業員が店舗や自宅で受講しています。
教材は大きく2種類に分かれます。
1つめは、社員やセーラーが必ず受講する「クルーズ・スピリッツ」という初期教育のための教材です。
銀座クルーズの従業員として働く上での姿勢や考え方、ホスピタリティの重要性、基本的な接客対応などについて学習します。
2つめは、お客様にお出しするコース料理についての知識と接客方法についての教材です。
こちらは、店舗ごと・コース料理ごとに教材が作られています。
作成した教材は個々人が自分のPCやiPhoneなどを使って学習しています。加えて業務の空き時間に学習できるように、 店舗ごとにPCを設置しています。ただし店舗に設置できるPCには限度があります。そこでいくつかの店舗では 試験的にiPhoneを10台購入し、社員やセーラーに配布しています。
学習状況やテスト結果などは、本部や管理者側ですべてチェックできます。
詳しくは後述しますが、コース料理の教材など店舗に合わせ随時作成・更新していかなければならないものについては、
eSCOMに搭載されているコンテンツ作成機能を使い、作成からサーバへのアップロードまで、全て本部で行っています。
なお、eラーニングのシステム自体はプラネットのデータセンターで管理されていますので、銀座クルーズ側で そこに人を割くことはありません。すべて任せています。
銀座クルーズのサービス品質を高めるために、さまざまな知識やノウハウをどうやって社内教育に落とし込むか、 これまで苦労していました。eSCOMの導入によってそれが1つ1つ実現できるようになりました。
それではまず、初期教育である「クルーズ・スピリッツ」のほうからお話しします。
“例えば料理をお出しする際「いつお出しするか」だけでなく「なぜそのタイミングなのか」がわからないと、 形だけの応対になります”
銀座クルーズには、実績の豊富な即戦力社員を採用するよりも社内でしっかり育てていくという風土があります。 きちんと教育して、きちんと給料をもらって、誇りをもって働く。それにより、品質の高いサービスを継続的に お客様にお届けすることができると考えています。
ただし、「しっかり育てる」=「やさしく手取り足取り」という意味ではありません。最低限のサービス品質を 保つための教育は徹底的に行います。基本的な接客ができなければ、できるまでやり直しをさせます。 手を抜いた対応をしたら厳しく叱ります。
そういった指導のベースとなるのが、初期教育「クルーズ・スピリッツ」です。
クルーズ・スピリッツで扱っている、働く上での考え方や接客の基本は、全ての社員・セーラーが理解し、
実践できなければならないことです。それをいかに浸透させていくか。浸透させるために、知識やノウハウを
どうやって社内教育に落とし込めばよいか。今までさまざまな方法を試行錯誤してきましたが、満足できる教育は
実現できませんでした。
それが、eSCOMの導入によって一歩ずつ前進し始めました。
前進する鍵となったのは「さまざまな学習要素の統合」だと考えます。
「お客様からご注文を伺うときにどうするか」「飲み物をお出しするときにはどうふるまうか」 「もしお客様からこういうことを訊かれた際にはどう対応するか」といった基本的な接客応対については、 これまでもマニュアルを整備してきました。お客様から高い評価をいただいている優秀な社員の接客応対を スクリプトに書き出して覚えさせたこともあります。やはり視覚に訴えないと身体に覚え込ませることは できないからと、DVDに撮影したこともあります。
しかしマニュアルだけだと、「暗記した通りのことをやればいい」という状況に陥ってしまうリスクが ありました。表面的な対応はお客様にも伝わります。マニュアルに頼りすぎると臨機応変な対応もできなくなります。
一方、具体的な行動のみならず、基本的な姿勢や心構えといったものを教え込むための、講義形式のスタンス教育も 行ってきました。こちらのリスクは「上滑りの精神論」になってしまうことです。受講直後は気持ちが盛り上がり、 やる気が満ちてくるかもしれません。しかし実際に何をすればいいかがわかっていないと、たちまち冷めてしまいます。 「ホスピタリティ」や「おもてなし」という言葉だけが一人歩きして、みんなバラバラの行動をしているのでは 意味がありません。
そこで、上述の接客応対スクリプト、DVD映像、講義で使っていた資料などを材料としてそろえて、 プラネットと相談しながら組み合わせ方を練り、実際の教材コンテンツの制作はプラネットに委託しました。 制作はスムーズに進み、クルーズ・スピリッツのeラーニングコンテンツ〜文章、図解、動画、写真、音声などが 組み合わさったコンテンツ〜が出来上がりました。
クルーズ・スピリッツでは、1つ1つの具体的な接客手順や方法について「どのように」と「なぜ」がセットにして
解説してあります。具体的なふるまい方(マニュアル)だけでなく、なぜそのような対応が必要か、その行動によって
お客様に何を伝えるのか(スタンス)も理解します。
「マニュアル」と「スタンス」が統合することではじめて、銀座クルーズが大切にしている理念や考え方を
体現するとはどういうことなのかがわかります。
社員やセーラーに最終的に望むことは、「常に相手の立場に立ち、やり方は自分で考えて行動する」ことです。 マニュアルに載っているのは1つの行動例に過ぎません。しかしまずは型から入る。「なぜ」を理解した上で、 型通りのことができるようになることがスタートです。「なぜ」がわかってさえいれば、いずれ自分なりの やり方を創りだすことができます。
また、eSCOMによって、もう1つ統合できたこともあります。
それは「現場」と「本部」の統合です。
クルーズ・スピリッツをはじめ全社員・セーラー向けの教育は本部で企画をします。
一方で、現場で直接指導をするのは店長をはじめ先輩社員の役割です。
OJTという名目で、教育の全てを現場に丸投げすることはできません。
忙しく、シフトもばらばらの中で、現場で直接指導できる時間には限りがあります。時間の無い中で
現場だけに指導を押し付けると、必ず店舗やチーム間で指導の温度差が出ます。その温度差が、
銀座クルーズ全体のサービス品質を低下させます。
“育成のゴールを共有することで、さまざまな教育手段が連携してきます。特定の人や部門に負荷をかけず、 全員がそれぞれの役割を果たすことが理想です”
逆に、本部側で教育を全てコントロールすることもできません。そもそも、社内教育全てを コントロールできるだけの人数を本部に置く余裕はありません。
eSCOMを用いてクルーズ・スピリッツをeラーニング化したことで、クルーズ・スピリッツが全員の 共通言語として活用できるようになりました。誰でもいつでも閲覧することができるので、指導を する際の基準にもなり、バラツキを防ぐことができます。理解度テストも作れるので、最低限のことは 自分で覚えることを前提にした指導が可能です。
集めて研修を行う時間や人のコストを削減することもできました。
これまでクルーズ・スピリッツの集合型講義は、各店舗で丸1日かけて行っていました。
現在はeラーニング(通しでおよそ3時間)は事前課題にしています。
それにより、集めて行う講義は3時間に削減することができました。各店舗ごとに行うのではなく 1カ所にまとめて講義を行う形にしたため、教える側の人件費も削減できました。新規に社員やセーラーを 採用するたびに年に何回も行う教育です。積み重なると大きな削減効果が出ます。
もう一つのコース料理のeラーニング教材とは、コース料理ごとの、料理についての具体的な知識、お客様にお出しするときの説明の仕方、 お客様に関心を持っていただけそうなポイントなどについて学習する教材です。
同じ料理であっても、説明の仕方によってお客様が受けとられる印象は異なってきます。 より美味しく召し上がっていただくために、説明の仕方にも工夫が必要です。教材の元となる知識や ノウハウは、主に私をはじめ各店舗の料理長の頭の中にあります。
ですから、この教材のポイントは「いかに早く、効率的に教材を作ることができるかどうか」です。
シーズン毎にコース料理は変わりますから、そのつど教材を作る必要があります。新しいコースがリリースされたら、
すぐに教材化して覚えてもらわなくてはなりません。
現在は、自分で教材を作っています。プラネットから、教材開発ツールの使い方やサーバへのアップロード方法など、 いろいろなノウハウを伝授してもらいました。次のようなステップで教材化を行います。
<1>料理の写真を用意し、説明の文章を加えながら教材の元データを作る
(パワーポイントで作成。1コースにつきスライド20ページ程度。写真は自分で撮影することもある)
<2>書かれた文章通りに読み上げるのではなく、ナレーター用の説明スクリプトを用意する。
スタッフに読み上げてもらい、音声データを用意する。
<3>eSCOMを用いて上記のデータを組み合わせ、サーバにアップロードする。
素材データが全てそろっていれば、教材化はPC上の数ステップの処理で出来てしまいます。作業にも慣れてきましたので、 今では集中すれば2日程度で上記の<1>から<3>まで終わらせることができます。
すでに10本以上のeラーニング教材が稼働しています。これまではほとんど自分で作ってきましたが、 徐々に各店舗の料理長が自分たちで作れるような環境を整えていきます。
まだ始めてそれほど経ってはいませんが、少しずつ手応えを感じています。
作成したeラーニング教材を使い、試験的に1つの店舗で集中的な教育プロセスを組んでみたところ、
スタッフの接客レベルは短期間でかなり高まりました。他の店舗にもその仕組みを展開する予定です。
運用のコツは、「使われないことを前提に推進していく」ことだと思います。eラーニングに限ったことではないかもしれません。
新しいシステムを理解できない、操作がわからないといったアレルギー反応は出て当たりまえだと思います。 根本的な部分で「やりたくない」という反応もあります。それをどうやって乗り越えていくかだと思います。
まず、システムのわかりやすさ、操作のしやすさといった部分をどんどん改善していくこと。テストや管理機能などを 用いて「学習をさぼらせない」ための追求の仕方も工夫できます。一方で、教材側だけではなくそれをどう使っていくかという、 指導者側の仕掛けや、学習が完了したら待遇を上げるといった制度面でできることもあるでしょう。
こういった改善は全て一度にはできません。まずはとにかく動かしはじめる。はじめからスムーズな運用を期待するのではなく、 やりながら1つ1つ障害を乗り越えていくことが、最終的に「現場が変わる」ということに結実すると考えています。
“これからも「人が育つ職場作り」をサポートしてください”
※写真右:プラネット 取締役 川上、左:営業担当 大谷津
フットワークが軽いこと、それがプラネットの最も良いところだと思います。
相談したいときにすぐに来てくれますし、ポイントを早く理解して対応してくれます。
どうしてフットワークが軽いかというと、やっぱり外食業界のことをよく理解しているからだと思います。 システムやeラーニングといった手段ありきではなく、何をすべきか、なぜ必要かという部分の会話ができますし、 現場の実情を踏まえた運用方法を一緒に考えてくれます。
今後は、さらにシステムを使いやすくしていきたいです。操作性や教材開発の効率を高めることに加えて、 給与システムとの連動などについても相談したいと思っています。
社員教育には何よりも「情熱」が求められると思います。「この程度でいいでしょう」と思った瞬間、 その気持ちは社員にも伝わり、学ばなくなります。それは最終的にお客様にも伝わってしまいます。
そして、情熱は秘めているだけではなく具現化させる必要があります。eSCOMは情熱を具現化し、 機能させるためのツールだと捉えています。
ゆくゆくは、成長した社員が教材開発にも関わっていくような、接客レベルと教材レベルが自律的に相互に 向上していくようなイメージを目指しています。そのためには今まで以上の工夫と努力が要ると思います。 プラネットと一緒に実現していきたいと思っておりますので、今後もよろしくお願いします。
お忙しい中、ありがとうございました。
※ 導入事例取材日時 2010年3月
※ 株式会社銀座クルーズのWeb サイト
※ 事例制作 カスタマワイズ
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